IC-706mkⅡ修理:低温時送信不可or周波数ずれ

先シーズンの寒い時期、2mFMで移動運用時にコールすると「周波数がずれてますね」とコメント頂いたことがありました。しかし、次のQSOの方にコメント頂いたところ「問題ありませんね」とのこと。疑問を持ったまま約一年経ってしまったのですが、今年のQSOパーティー参加時に2mFMでコールしたところ信号は59なのにコールバックが全くありません。画面表示上もパワーが全く出ていない。。 仕方がないのでパワーの出るCWでしばらく運用、その後FMを確認したところ、今度はパワーが出ていました。

確認の為、自宅に戻って無線機が冷えた状態で室内に持ち込み即電波発信。すると確かに周波数がすっ飛んでいます。症状としては、マイクONから数秒間掛かって本来の周波数にじんわり移動するイメージです。モードしてはFMで全バンドで同一症状、それ以外(CWなど)では問題ありません。

最初は電源回路部分のアルミ電解の容量抜けが原因かと考えました。(FMはフルパワーが常にでるので。ただ、2mはフルパワーで20W、HFは50WですのでHFのCWで症状が出ないのが解せませんでしたが)
706mkⅡは電源回路に個人的に設計ミスだと思われる個所があります。13.8V→5Vの三端子レギュレータ生成の回路ですが、レギュレータ入力手前に抵抗で電圧を落としている部分があるのですが、この抵抗は受信時でも触れない程熱くなります。(数秒で確実に火傷するでしょう) しかも、この抵抗にピッタリくっついて容量の比較的大きいアルミ電解(しかも85℃品)が実装されています。これは回路と実装の両方で設計ミスでしょうね。このアルミ電解を取り外して確認してみました。すっかり容量が抜けきっていると予想していたのですが、確かに容量減だが220→190μF(低温時)でしたのでまだ残ってました。但し、かなり弱っているのは確かなので手持ちの105℃品に交換です。

写真の下側2つのアルミ電解の間に立って実装されている抵抗(電圧降下用)が触れないくらい発熱しています。ありえない設計です。抵抗自体の劣化も心配ですが、当然アルミ電解も炙られています。

f:id:JR7XRF:20200402231707j:plain
ということで、こんな感じに基板を浮かせた状態でアルミ電解1つを交換。

f:id:JR7XRF:20200402231733j:plain

f:id:JR7XRF:20200402231751j:plain

しかし症状は治まりませんでした。FMモードだけの症状なので原因は別なところにありそうです。英文のサービスマニュアルをネットで探してあったので、再度読んでみるとFMで周波数に関わる調整箇所を見つけました。チェックしたところ、サービスマニュアルの指定値からかなりずれていました。まさにここ、調整後は低温でも問題なく周波数制御できています。

こちらだった様です。びっくりする位ズレズレでした。

f:id:JR7XRF:20200402231812j:plain