FM/AMチューナー修理 2/2:SONY ST-515

続きです。

 �@周波数スケールを照らす照明ランプの片方が点灯していない。
 �AFMの周波数が400kHz単位で変化する。(正常ならせめて100kHz単位でしょう)
 �B受信しているバンドを表示するランプ(FM/AM)が点灯しない。
 �C他のチューナーと比較して感度が良くないかもしれない。(Signal強度表示が少ない)

�@は前の記事で完了しているので�A以降です。

�A
少し時間がかかりました。この機種の周波数設定の仕組みから理解する必要がありました。この機種のFMは、前面の周波数スケールのメモリと、デジタル表示(実際の受信周波数)が正確に一致することにこだわっていることが分かりました。その為に前面スケール裏にバーコードの様な印刷がされていて、これを読み取って周波数MIX用の発振周波数(PLLで)を設定する信号を専用ICへ送っています。更に実際にMIX用信号を分岐して周波数カウンターでカウントしてデジタル表示をしているのです。よって、前面周波数スケールのどの位置で受信していても正確にデジタル表示と一致する仕組みになっています。ちなみにバリコンはフロントエンドの同調のみに関わっています。

この設定信号を作り出す汎用ロジックICの一部が「中途半端」に壊れている事が分かりました。イクスクルーシブORの4個入りICである4030内の1個が動作不良となっていました。これを交換することで、100kHz単位で動作し正常動作となりました。修理前は少しずれた状態で聞こえていた放送も正確な周波数で受信できるようになりました。



正常になった



�B
FM/AMインジケータランプについては、テスター抵抗レンジで調べたところAM側の麦球が切れていました。どうせ修理するならLEDにしてしまおうと考えて、適当な電流制限抵抗をシリーズに挿入してLEDとしたところ、FMで両方共点灯してしまいました。
該当部分の回路を載せましたが、AMの麦球が消灯している時にもこの麦球を通して電圧をFM側麦球の駆動トランジスタ動作用に利用している事がわかりました。ずいぶん凝った回路で、まさにアナログ回路です。麦球をLEDに置き換えると消灯時には電圧が全く伝わらずFM用の麦球が点灯できません。かといって、電流をかなり絞ったとしてもLEDがONしてしまえば光ってしまいまうので、FM/AM両方が光ってしまうのです。ということで、ここは麦球を調達して修理しました。



�C
FMの感度調整はSignalGeneratorがありませんので、実際の電波を受信して簡易調整したところ感度がアップし、信号強度表示も大きく振れる様になりました。(正確に調整するなら、SignalGeneratorを使って低い側と高い側で異なる部品で調整する箇所なのですが、当地では基本的に低い周波数しか聞こえないのでTV用アンテナを接続して低い側77.1MHzと82.5MHzで調整。SignalGeneratorが入手できたら、もしくはEsシーズンにちゃんと調整しましょう。)AMに関しては十分すぎるくらい感度がありましたので、調整しませんでした。


こんな感じに修理完了です。